ホビーショップ アミー


コラム 昨今の事情
2005/07/23 記事作成

以前と違い、最近は景気が悪いですね。景気が悪くなると、ホビー関係の流通にも大きく影響がでます。最近なんでもかんでも中国産になっているのも、そういった影響のひとつです。他にもいろいろあります。メーカー、問屋、小売店、そしてお客様にも目に見えにくい大きな影響が出ています。お客様も知っておいた方がいいと思う内容をここで説明させていただきます。興味のある方はお読みください。

中国産になることによる影響
中国の人件費は日本の約1/10です。製造に携わる人件費だけで考えると1/10で済むわけです。その分商品を安く作ることができます。ま、現在の中国の経済成長率はかつての日本のようにものすごいので、いずれは中国の人件費が日本を追い抜くこともあるかもしれません。日本では工場が中国に移るため、リストラが進んだりしてますが、それはさておき、安く作れるのであれば、それに越したことはないでしょう。しかしながら、中国産になることにより、いろいろ不都合も出てきています。中国に自社の工場を建てられる程の会社ならともかく、中堅のメーカーなら製造を委託することになるでしょう。その場合は、生産期間が限られている、生産数が限られている、などの制限があるため、生産数が足りなかったり、足りなくても生産を終わらせなくてはならなかったり、また、生産が遅れるなどの問題も発生します。ですから、発売日が遅れたり、生産数が極端に少なくなったり、発売日や入荷数が直前まで分からなかったりします。また、基本的には一度しか生産することはできず、売れたからといって継続的に生産することはできません。発売日に手に入れないと、すぐに市場から消え、二度と再生産されません。じっくり考えていると手に入らなくなってしまいます。

メーカーはなぜ在庫を持たないか
不景気です。メーカーも自社の利益を確保するのに精一杯です。在庫を持つということは、在庫リスクと倉庫費用とその管理費用が発生します。これらにかかる費用はびっくりする程莫大です。もし在庫を持たなくていいなら、利益は2倍程度になります。ある有名な会社が流通革命などと言って自社で在庫を持たなくしたらそれだけで利益が2倍以上になったという話があります。ここのところ不景気なのでメーカーは在庫を持ちません。ではメーカーはどうするのかというと、生産する前に注文を取ってしまいます。そして受注した分だけを生産します。そうすればメーカーは在庫を持たなくて済むわけです。もちろん問屋も在庫は持ちません、メーカーが持たないのに問屋が持つはずありません。そして小売店も在庫は持ちません。日本の小売店は小さいのです。特に都会の店舗ならなおさらでしょう。バンダイなどは、アメリカでは全ての商品が店頭に並ぶように生産してますが、日本では小売店の小ささを配慮して、一度に沢山の商品が出ないようにうまくサイクルを考えているようです。もちろん日本にも大型店はありますが、入店してみれば分かるように、商品量は案外少ないものです。もしメーカーが在庫を持ってくれるなら、小売店は小ロットで仕入れてどんどん回転させるということができるのですが、メーカーが在庫を持ってくれないということは、たった一度しか仕入れられないということです。つまり値下げして高回転を狙うこともできなくなります。売り切れたらおしまいなのです。中国産になったことに加えて、メーカーが在庫を持たなくなったことも、一度しか生産されなくなった理由です。

何もせずに利益だけを得ようとする商社
自社で充分な営業力を持つ大手メーカーは、市場をうまくコントロールしています。しかし、メーカーとはこのような大手ばかりではありません。商品作りはうまいのに、営業力がないメーカーも沢山あるのです。このようなメーカーはすぐに商社の餌食になります。いや、実際に餌食になるのはメーカーではなく小売店ですが最終的にはメーカーも餌食になります。商社とは常に、労働せずに利益を横取りしようと狙っているのです。以下に例を挙げてみましょう。実際はこんなに単純ではありませんが、簡単になるよう単純にしてあります。非常にいい商品Aを作るメーカーBがあったとしましょう。しかしメーカーBは営業力は高くありません。メーカーBは商品Aを問屋Cに定価の50%で、問屋Cは小売店Dに65%で卸していたとしましょう。ここで、商品Aが非常によく売れることに目をつけた商社Eが現れます。商社Eは小売店Dの利益をなんとか横取りしてやろうと考えるわけです。しかし商社Eは小売店Dに何かアプローチをするようなことはしません、もっと手っ取り早い方法を取ります。商社EはメーカーBに対して話を持ちかけるわけです。うちを通して出荷してくれればもっと売れますよ、という具合に。もちろんメーカーBはこの話に乗るでしょう。営業の弱いメーカーBにしてみればおいしい話です。これにてメーカーBの商品は全て商社Eを通して出荷されることになりました。もちろん商品そのものは各問屋や小売店にメーカーが直接出荷するので、商社は単なる口利きだけでお金が入ってきます。では先程の流通過程はどのようになるかというと、メーカーBは商社Eに50%で、商社Eは問屋Cに65%で、問屋Cは小売店Dに80%で卸すことになり、結果商社Eは小売店の利益を横取りできたことになります。ちなみに小売店は粗利益20%だと純利益は間違いなくゼロです。それでも商品Aが売れる商品であることは間違いないでしょう。さて、商社Eがボロ儲けしているのを見て、それにあやかりたいと考える別の商社が現れます。それは大抵商社Eの親会社か子会社でしょう。ここでは商社Eのグループ会社として商社E'としましょう。商社Eはグループとして、もっと利幅を増やそうと考えます。そこでもう1社中間流通を増やすわけです。するとどうなるでしょうか。メーカーBは商社Eに50%で、商社Eは商社E'に65%で、商社E'は問屋Cに80%で、問屋Cは小売店Dに95%で。もちろん商社Eと商社E'の前後はペーパーだけのやりとりにすぎません。こうなると、いくら商品Aが売れるからと言っても、どこの小売店ももう扱わなくなるでしょう。メーカーBは潰れるしかありません。せっかくいいものを作っているのに市場のコントロールをミスった結果です。大変残念なことですが、このようにして消えていくいい商品を作るメーカーは沢山あるのです。

[TOPに戻る]